『しゃべれどもしゃべれども』
2008-05-28(Wed)

心に浮かんだことをポンと言葉にできる、ってある種の能力だと思う。ズバッとサラッと言ってのけて遺恨を残さないようであれば見事というべきで、そうした才能に恵まれない者にとって羨ましいこと限りない。
ストーリー:今昔亭三つ葉(国分太一)はいまひとつ腕が上がらない落語家。高座の受けも悪くて悶々とするある日、師匠が行う話し方教室についていった三つ葉は、話の最中に仏頂面で部屋から出て行った女性、五月(香里奈)と知り合う。それが縁で三つ葉は彼女に落語を教えることに。ほかに関西から転校してきたいじめられっ子の小学生優(森永悠希)、解説下手の元野球選手湯河原(松重豊)が加わり、話すことにコンプレックスを感じる3人を相手に三つ葉の落語教室が始まる。
私は思っていることをすぐに外には出せない性質なので、仏頂面した香里奈の気持ちがよく分る。「ありがとう」とか「ごめんなさい」をすっと言えなくて鬱々としていた子供時代を思い出すと、不器用だったなぁと恥ずかし懐かしい。勝気だから言えないというよりは、気恥ずかしくて言えないって感じ・・・分ってもらえるだろうか?タイミングを計っているうちに時期を失ってしまったり。
今は「ありがとう」と「ごめんなさい」は人よりうまく言える自信がある。成長した!?
穏やかなイメージの国分太一が演じる江戸っ子気質の売れない落語家― 語り口もぶっきらぼうで、いつもニコニコしているようなタイプではない。それがなかなかに新鮮でよかった。国分の祖母役、八千草薫も同じ。いつものおっとりした八千草さんとは一味違う。
生徒の3人〜強面の湯河原と仏頂面の五月は心の中をうまく言葉にできない不器用さがいじらしい。関西弁をからかわれてめげている小学生の優はもともと外交的な性格なので、落語を知って生き生きとし始める。
落語教室とはいっても下町にある三つ葉の家に集まって落語を覚えるだけ。なんということのないそんな時間が3人と三つ葉自身を変えてゆく様子が興味深い。
落語を覚えるために普段もぶつぶつ独り言を言っている彼らの姿が愛おしい、そんな一作だ。
『しゃべれどもしゃべれども』2007年日本 監督:平山秀幸 原作:佐藤多佳子「しゃべれどもしゃべれども」 出演:国分太一、香里奈、松重豊、森永悠希、伊藤四朗、八千草薫ほか 主題歌:ゆず「明日天気になぁれ」

